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【臨床検査課より】
 

第56号
〜 下肢静脈超音波検査 〜  
 

足の静脈の構造

足の静脈は深部静脈、表在静脈、これらを結ぶ穿通枝の3つに分けられます。
正常な足の血液の流れは表在から深部、末梢から中枢へ向かい、その方向にきちんと血液が流れるように血管の中には弁があります。

足の静脈の病気と検査目的

足の静脈の疾患は拡張性疾患と閉塞性疾患に分けられます。主に拡張性疾患には下肢静脈瘤、閉塞性疾患には深部下肢静脈血栓症があります。

 

*下肢静脈瘤*

立った時に足の表在静脈が拡張し、屈曲蛇行した状態をいいます。
静脈弁の機能異常によって血液の逆流やうっ滞が生じているので、美容上の悩みから痛みやかゆみ、皮膚への色素沈着、難治性潰瘍の形成など症状も様々です。
下肢静脈瘤は一次性静脈瘤、二次性静脈瘤、特殊な静脈瘤に分けられます。最も頻度が高いのは加齢、妊娠、生活様式などが関与する一次性静脈瘤です。
超音波検査では、静脈弁の機能異常がおきている範囲や原因となっている静脈を調べます。

 1.静脈径の計測
 2.カラードプラー法でミルキング操作(手で足をもむように圧迫すること)を行い、血流の有無を確認し、弁の機能異常を調べる

 

左:正常例 血流はなく逆流はみられない 右:矢印の方向に血流を認め、弁の機能異常を認める

 3.A同様にミルキング操作を行い、血流の逆流している時間の測定  
 4.拡張や血液の逆流が生じている穿通枝の検索  
 5.血栓性静脈炎の原因となるうっ血した静脈瘤内の血栓の有無

*深部下肢静脈血栓症*

足の深部静脈が血栓(血のかたまり)によってつまった状態をいいます。
血管がつまり、血の流れが悪くなるため、足が腫れたり、皮膚の色調異常や痛みを伴ったりします。また、血栓がはがれ、肺の血管につまり、肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)を引き起こすこともあります。深部下肢静脈血栓症は、手術後や病気による長期の寝たきり状態、旅行などでの長時間座った状態、妊娠、肥満などが原因となって起こります。このため、深部静脈血栓症が疑われる場合だけでなく、肺塞栓症の方や手術後の肺塞栓予防のために手術前の方に対しても検査が行われます。
超音波検査では、様々な方法で確認して深部下肢静脈血栓症と診断します。
 1.血管内の血栓の確認
 2.血栓がある場合、血管を圧迫しても血管がほとんど変形しないことを利用した血管圧迫法

圧迫時
左:正常例 静脈がつぶれている
右:静脈がほとんど変形せず血栓が疑われる
A:動脈、V:静脈

 3.カラードプラー法を用いて血流の有無を確認

体位交換や深呼吸、ミルキング操作を行って血流量を増やしても血流を認めない場合は血栓の存在を疑います。

検査方法

足の付け根から足首までゼリーを塗るため、ズボンやストッキングなどは脱いで検査を行います。超音波を用いるため、繰り返し検査を行うことができ、妊娠中の方にも安心して受けていただけます。検査時間は約30分です。
 

参考文献
頸動脈・下肢動静脈超音波検査の進め方と評価法 医歯薬出版株式会社
下肢静脈疾患と超音波検査の進め方 医歯薬出版株式会社

血管超音波テキスト 日本超音波検査学会                    

文責 坂元めぐみ
鈴鹿回生病院 臨床検査課

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