<<臨床検査課トップへ
【臨床検査課より】
 

第58号
〜 eGFRと慢性腎臓病 〜  
 

 eGFR(推算糸球体ろ過量)とは腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。これは、血液検査で分かる血清クレアチニン値と性別、年齢で簡単に計算できます。

*これは慢性腎臓病の重症度を分ける指標になっています。

 
○慢性腎臓病について・・・

 慢性腎臓病とは腎臓の働きが慢性的に低下していく病気で、患者さんは1330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。
 生活習慣病(高血圧、糖尿病など)や、メタボリックシンドロームとの関連も深く、誰もがかかる可能性のある病気です。腎臓は体を正常な状態に保つ重要な役目を担っている為、慢性腎臓病によって腎臓の機能が低下し続けることで、様々なリスクが発生します。
 慢性腎臓病は初期には自覚症状がほとんどなく、それが慢性腎臓病の怖いところで、患者を増加させている原因でもあります。

 

○慢性腎臓病が進行するにつれ現れる症状

 これらの症状が自覚されるときは、すでに慢性腎臓病がかなり進行している場合が多いといわれています。
 慢性腎臓病があると、脳卒中や心筋梗塞など心血管病発症のリスクが高くなることが分かってきました。また、進行して腎不全になると体内から老廃物を除去できなくなり、最終的には透析療法が必要になります。
 腎臓は病気がある程度まで悪くなってしまうともとの正常な状態には回復しませんが、生活習慣の改善や薬物治療により病気の進行を遅らせることができます。
 
○慢性腎臓病を早く見つけるためには・・・
 定期的に健康診断を受け、尿や血圧の検査をすることが早期発見につながります。

*尿蛋白検査:
尿検査にて尿中にたんぱく質が漏れ出してないか調べます。

*血清クレアチニン検査
:血清クレアチニンは血液中のある老廃物の一種です。本来であれば尿へ排出されますが、腎臓の働きが悪くなると、尿中に排出されずに血液中に溜まっていきます。血液検査にて値が高くなっていないかを調べます。
 
○慢性腎臓病はその重症度に応じて、ステージ1からステージ5の5段階に分けられています。その指標となるのが推算糸球体ろ過量(eGFR)です。
*慢性腎臓病のステージ分類

 慢性腎臓病の治療は、日々の生活習慣の改善、食事療法や薬物治療による血圧管理、貧血改善、脂質代謝管理、糖代謝管理、塩分摂取制限などを総合的におこなうことが必要です。
 万一、腎機能が低下してしまっている場合には進行を遅らせる治療が必要です。この場合も総合的な管理が必要になります。

 定期的に健康診断を受けて頂き、慢性腎臓病の早期発見と予防に努めましょう。

 

参考文献

日本腎臓病学会:CKD診療ガイドライン
協和発酵:知ろう、ふせごう 慢性腎臓病 

 


 文責 堤 泰夫・種村 百合香
鈴鹿回生病院 臨床検査課

<<臨床検査課トップへ