インタビュー医師紹介
平成15年(2003年)3月に三重大学医学部を卒業し、総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、さらに膵臓学会認定指導医として消化器の中でも消化管、胆膵疾患を中心とした検査、内科的治療に従事しています。
「つづく胃の痛み」
消化器内科で調べてみませんか?
~すい臓がんの検査と治療について~
消化器内科 副部長田野 俊介
消化器内科では消化器臓器全般を扱っています。消化器がんに関してはまず全般的な診断を行った後、治療を行いますが、当院では各専門分野を持った消化器内科医が複数人おりますので、必要に応じてバトンタッチしながら専門性をもって疾患の治療にあたっています。私自身は、以前は早期の胃がんや食道がんの内視鏡治療も行っていましたが、現在は新たな医師が加わったこともあり、すい臓がんや胆道がんの治療に専念しています。
基本的な検査として、上部消化管や大腸の内視鏡検査があります。それ以外にも肝臓などでは腹部エコー検査、胆道、すい臓などではこれに加えて超音波内視鏡検査を行っています。また、最新のカプセル内視鏡を導入し、小腸の撮影も可能になりました。カプセル内視鏡とは、文字通りカプセル型のカメラを飲み込んでもらい、自然な流れで消化管を通りながら1秒間に2枚程度の写真を自動で撮影します。小腸は長い臓器なので、普通のカメラは到達できませんが、この方法により、動画のように観察が可能となりました。
消化器に発生するがんとしては食道、胃、腸、肝臓、すい臓、胆道がんなど様々あります。これらのがんは早く発見されれば、手術でとってしまうのが一番ですので、外科へ紹介することとなります。胃や大腸はがん検診が盛んにおこなわれるようになり、早期発見されることが多くなってきました。このため早期の中でもさらに早期であれば消化器内科で内視鏡でとってしまうことも多いです。一方で、すい臓がんや胆道がんは未だに健診での検査法が確立しておらず、早期の段階での発見が難しい疾患です。進行してから発見されることが多く、手術することが難しい方は消化器内科で抗がん剤治療を行っていくことになります。
実は、すい臓がんや胆道がんで痛みを感じる場合、みぞおちあたりが痛むことがあり、胃の痛みと誤解されがちです。開業医さんなどで胃内視鏡検査を受けても、何も異常がないと言われ、原因がはっきりしないこともあります。自然に軽快すればよいのですが、なかなか治らない場合は、実は胃ではなくすい臓が原因である可能性も考えられます。症状が長引く場合、CTやエコーなどの検査を受け、別の角度から状態を確認することが重要です。より詳細な検査をする場合には、合併症のリスクもあるため、入院して検査することもあります。
がんの診断には病理検査が必要です。胃がんや大腸がんなどは、通常の内視鏡で細胞組織を取り診断できます。しかし、すい臓は固形の臓器なので通常の内視鏡が直接届かないため、超音波内視鏡を使用して細胞組織を取る方法があります。
超音波内視鏡は、特殊なカメラに超音波機械が付いており、胃・十二指腸の壁越しに超音波ですい臓を観察でき、超音波画像を見ながら、胃の壁を貫通して専用の検査針を穿刺し細胞を取得します。ただし、がんのある場所や大きさによっては更にカテーテルを使った検査など、他の専門的な検査が必要な場合もあります。
痛みの特徴は、鈍い痛みが多いようです。痛む場所としては、がんのできた部分によって異なり、すい臓の左の方(膵尾部)にできた場合は背中の方に痛みが出ます。すい臓の右の方(十二指腸寄り)の場合は前の方が痛むんです。ただ、一概にはいえず人によって異なると思います。進行するとすごく痛くなります。すい臓の内部にできた癌が、背中側にある神経層という神経の元締めみたいなのを刺激することで激しい痛みを感じることがあります。
しかし、痛みが激しい場合は、病院にかかられると思うんですが、何となく重たいとか背中が少し痛いとかだと、来院されず、結構進んでからわかることがあります。もし、胃の不調を感じてから1回も検査をしていなかったら、内科に来て、網羅的な検査を受けることをお勧めします。
がんの治療は手術、放射線、抗がん剤の使い分けが進行度合いによって決まります。すい臓がんも早期で手術が可能であれば、まず手術が主流です。進行し、手術ができない場は、当院では抗がん剤が主な治療になります。三重大学医学部附属病院では放射線と抗がん剤を組み合わせた臨床試験も行っていますが、通常の放射線治療は行われていません。
そのほかに、三重県内では施設がなくできませんが、手術が難しい転移のない膵がんに対して行う治療法として重粒子線や陽子線治療(=放射線治療)も保険適応になっています。
基本的に、抗がん剤治療を始める時は、初めに入院してもらって、副作用が出ないか確認させてもらっています。使う抗がん剤によっては入院せずに治療を始める方もいらっしゃいます。その場合は、こまめに通院してもらい副作用を確認しています。
抗がん剤治療に関していうと投与方法、投与量は基本的に決められたものがありますが、実際には「〇〇がんだからこのような流れで」と、ひとくくりにできない部分が多いです。皆さん体力や持病があるので、臨機応変に話し合いながら、要望を聞きつつ個別に進めています。例えば若い人は、体力もあり多少副作用があっても受け止めやすいですが、仕事の関係で入院が難しい状況などがあり、通院で抗がん剤治療を導入する場合があります。高齢の方は、本人も家族さんも心配されるので、入院して状態を確認しつつ抗がん剤を導入するようにしています。
ただし、すい臓がんは抗がん剤だけでは完全に治療することが難しい場合があり、寿命を少しでも伸ばすことが治療の目的となることがあります。通院のご負担はありますが、副作用の調整を行いできるだけ普段通りの生活を営んでいただく時間を確保することを大切にしています。
おなかの症状は一過性のことも多いです。自然に軽快するのであればいいのですが、症状が続くときには一度は検査をおすすめします。お気軽に受診してください。
平成15年(2003年)3月に三重大学医学部を卒業し、総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、さらに膵臓学会認定指導医として消化器の中でも消化管、胆膵疾患を中心とした検査、内科的治療に従事しています。
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