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【臨床検査課より】
血液ガス分析 

第52号

〜 血液ガス分析 〜

私たちは食料無しでは3〜4週間、水無しで4日間ほど生きられるといわれていますが、酸素なしでは数分間しか生きられません。肺には、空気中の酸素(O2)を血液の中に取り込み、体内で生産される炭酸ガス(CO2)を排出する役割があります。安静時の大人が1回呼吸する際に出し入れする空気は約500mlです。これをガス交換といいますが、肺は効率よくガス交換を行うために、約3億個に及ぶ直径0.3o程度の肺胞という小さな袋に分かれています。この肺胞におけるガス交換を調べるには、「血液ガス分析」と「肺機能検査」の2種類がありますが、今回は血液ガス分析についてご紹介します。

血液ガス分析器で測るものには、酸素分圧(Pa O2)、炭酸ガス分圧(PaCO2)、pH等があります。酸素分圧、炭酸ガス分圧は血液中に溶け込んでいる酸素や二酸化炭素の量を反映する指標です。pHは、体内の酸・アルカリのバランスがきちんと取れているかを知る指標となります。私たちの身体を流れる血液中のガス分圧の合計は760 mmHg(Torr)で、動脈血中の酸素分圧は通常80〜100mmHg、炭酸ガス分圧は35〜45mmHg、pHは7.35〜7.45です。

検体は動脈血で、手首(橈骨動脈)か肘(上腕動脈)もしくは足の付け根(大腿動脈)から採血します。普通の採血は静脈からですが、血液ガス分析では動脈血を検査しますので、医師が採血を行います。採血後の動脈血は、特に酸素分圧が急速に低下してしまいますので、すぐに血液ガス分析器で測定します。

呼吸不全とは、動脈血中の酸素分圧が60mmHgを下回ることです。

例えば、高い山に登ると息苦しく感じるのは気圧が低いためで、5500mの高地では気圧は約半分になり、それに伴い空気中・血液中の酸素の気圧も低下します。また肺炎や肺うっ血、慢性肺疾患などで、肺胞内の酸素を血液の中にうまく取り込めない場合、血液中の酸素が減少します。呼吸をコントロールする神経系や横隔膜・呼吸筋の障害によって呼吸がうまく出来なくなると、血液中の酸素は減少し、炭酸ガスが増加します。反対に過換気では、血液中の酸素と二酸化炭素ともに減少します。以上のように、「呼吸困難」といっても様々な原因があり、それによって治療法も様々です。血液ガス分析は、呼吸状態を知る上で非常に重要な検査です。

参考文献:「肺機能テキスト」文光堂
     「血液ガステキスト」文光堂
文責:山口 鮎子


 
鈴鹿回生病院 臨床検査課

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参考文献:日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2009
     循環器病情報サービス
     文責 西川恵美